ジェイムズ・ジョイスという作家がいる。
1900年台初期のアイルランドの作家だ。
この人の作品に
- フィネガンズ・ウェイク
という題名のものがある。
この作品、ものすごく難解なことで有名な作品だ。
ここでは、このフィネガンズ・ウェイクについてご紹介する。
1.フィネガンズウェイク
ジョイスの実験小説だ。
読んでみてわかるのだが、辞書(Oxford)に載ってない単語ばかりで構成されている。
ジョイス語と呼ばれる単語だ。
2.ジョイス語
辞書に載ってないので、もちろん、意味は分からない。
ところが、これが結構楽しめる。
冒頭の
- riverrun
だ。
riverとrunを組み合わせたもので、
- 川、走る
、だ。
これを
- 川走
と訳してよいだろう。
しかし、川は水が走るように流れているので
- 川は流れる
と読んだ方がはっきりする。
3.混成語
実は、日本にもこういう言葉が存在する。
ジョイス語は、ジョイスが作ったものなので、人造の言葉、いわば人造語だ。
ジョイス語でググっても、なんだかはっきりしない。
そこで「人造語」でググると
- 混成語
- かばん語
に関するwikiやこちらのサイトがヒットした(参考にさせていただきました。ありがとうございます)。
これらをのぞいてみると、定義は
- 複数の言葉を 一部分ずつ 組み合わせて作られた言葉を カバン語(混成語)
と言い、例示として
- 「やぶく」(「やぶる」と「さく」から)
- 「とらまえる」(「とらえる」と「つかまえる」から)
- 「熱さまシート」(熱さまし+シート)
- 「ネスプレッソ」(ネスレ+エスプレッソ)
三字の漢語については、
- 「青少年」(「青年」と「少年」から)
- 「国公立」(「国立」と「公立」)
などがあった。
そして注として
- (三字の漢字による混成語については、)漢字の表意的性格により、個々の字義から意味が明らかであるため、辞書に載らない暫定的な造語であることが少なくない。
とあった。
考えてみれば、これらの造語は、響きから意味を類推できるもの(やぶく、とらまえる)もあるが、実際のものがわからなければ、なんのことか想像もつかないものもある
たとえば
- 熱さまシート
だ。
これをお読みの方の多くは現物を知っているし、至る所で目にするので聞いただけでそのものがイメージできるだろう。
しかし、熱さまシートがどういうものか知らない方が、いきなり
- ネツサマシート
と聞かされても、なんのことだかわからないだろう。
そういう、その言葉について、ある程度の履歴が分らなければ意味が分からないのが混成語の欠点だ。
4.一部分ずつ
これらの混成語を解読するヒントは、
- 一部分ずつ
だ。
もっとも本作の混成語、すなわちジョイス語は、英語だけで構成されるものはほんの一部だ。
いろいろな国の言語を組み合わせて作られているものもあるようなので、解読にはかなり骨が折れる。
しかし、今回ご紹介した内容は、何らかのとっかかりにはなる。
5.本作の楽しみ方
読み進めていくと、
- なるほど
と思うような混成語、ジョイス語が出てくると、なんだかうれしくなったりする。
それが正しいかどうかは、ジョイス本人にしかわからないだろう。
しかし、それをどうとるかは、読んでいる本人の特権だ。
本作を読むのには、そういう楽しみ方もある。
6.まとめ
フィネガンズ・ウェイクを読み進めるためのヒントとして、ジョイス語の一つであると考えられる
- 混成語
をご紹介した。
もっとも、ご紹介した例のような構造の混成語が本作にあるとは到底思えない。
しかし、混成語の構造、考え方を知っているだけで、なんらかの手がかり程度にはなる。
本作に挑戦しようとお考えの方。
参考にしていただきたい。
