朝井閑右衛門の集中力とそのダイナミックさが半端ない!!

ウシマツです。

朝井閑右衛門について書きました。

あまり知られていない画家です。
しかし、非常に個性的な人です。
多くの方に関心を持っていただけたらと考えています。

朝井閑右衛門展

だいぶ前になるが、朝井閑右衛門展に行った。

あまり聞かない名前だが、バラの画家として有名だ。
晩年に、バラの作品をたくさん残していることから来る。

ちなみに、若い頃はバラは描いていない。
そのかわり、抽象的な内容の作品を描いている。

「丘の上」という作品がある。
500号という、大きなカンバスの作品だ。

500号というと、ピンとこないかもしれない。
だいたい、縦3m、横2.5mという感じだ。
つまり、どでかい。

この人の特徴として、異常なまでの集中力があげられる。
500号という大きなカンバスが、針の先になるくらいに集中するというのだ。

朝井閑右衛門の集中力、3mが3mmくらいに?

そのような極限的な集中力により描かれた作品は、その集中した結果がカンバス全体に描かれる。
すべての部分が同じ比重で描かれている。
全体も、細部も同じ比重だ。

そのため、見る方にも極限的な集中力を要求する。
その大きさはもちろん、描かれている作品全体を把握するのも難しい。
まさしく大作だ。

その超人的な集中力は、この作品に限らない。

「電線風景」という作品がある。
同じ題名の作品がいくつもある。
これは、自宅からみえる鉄道の架線を描いたものだ。

朝井閑右衛門は、ものすごい集中力

架線は、電車のパンタグラフが接触し、そこから電気を得る。
電線だから、まあ、見た目は非常に細い。

ところが、この人の描く電線は異常に太い。
というか、作を重ねるに従って太くなっていく。
最後の方は、丸太のような太さだ。

細い電線を太く書く。
というよりも、集中のあまり、太く描いてしまったというのが正しいだろう。

バラもそうだ。

実物の作品を見るとわかる。
油彩絵具が異常なまでの厚さで塗られている。
希釈して塗られているというものではない。

朝井閑右衛門は、塗ってるのか、塗りたくってるのか?

その様は、絵を描くというものではない。
それよりも、カンバスに絵の具を塗りたくる。
そういうほうがふさわしいだろう。

バラという花に対して、極限まで集中する。
その結果、絵の具を薄めて塗るのでは足りない。
だからそのままカンバスに置いたのだ。

それは、もはや絵画というよりも造形だ。
絵の具による造形だ。

見る側は
「ものすごい集中力で描かれている」
とかいろいろなことを言う。

しかし、本人はあくまでも見たままを描いている。
集中しようとして、集中しているわけではない。
見たまま、感じたまま、それらを表現しているだけだ。

バラを描くとき、あの折り重なる花びらをそのまま描こうとしたのだ。
あの折り重なる様をそのままカンバスに移そうとしたのだ。

だから
「ごてごてとした」
「厚塗り」
に、結果としてなってしまった、のだろうう。

本人は、厚塗りをしたくてしたわけではない。

描く本人
「なぜ厚塗り?」
はない。

結果として厚塗りなだけだ。
それだけだ。

そういう枠を無意識のうちに越えようとしていたのか?
そんなことすら考えてしまう。

朝井閑右衛門の画集もあります

この人の名前は、25年くらい前に知り、常々個展があれ
ばと思っていた。

やはり、実物を目の前でみないとその迫力はわからない。

ちなみに、日動出版から画集が出ている。
2000年に出版された。
現在は残念ながら品切れのようだ。

ちなみに一冊50,400円。
ソレガシはもちろん買った。
しかし、一度も開いていない。

だって、なんだかもったいなくて。

以上、ウシマツでした。