数学、算数をご存じだろう。
好き嫌いは別にして、数を対象とした学問だ。
お金や人数、日程調整など、いろいろな場面で数学、算数にお世話になっている。
しかし、もっとややこしい、微分、積分や、ベクトルなどは、お世話になっている、という気がしない。
中には、
- 研究者の趣味
のようなイメージのものもある。
そんな数学って、役に立つのだろうか?
ここではそんな、数学についてご紹介する。
1.数学は役に立つのか
結論から申し上げる。
役に立つ。
それが、たとえ研究目的のもの、象牙の塔のみのものであっても、役に立つ。
2.地図の塗り分け
ものすごく細かく、複雑に地域分けされた地図がある。
これをある条件のもとで塗り分けるのに、最低何色必要がご存じだろうか?
その条件とは、
- 隣接する領域が異なる色になるように塗る
だ。
答えは
- 四色
だ。
これは、数学的に証明されている。
証明が終わっているので、どんなに細かく、複雑に区分けされた地図でも、隣合うエリア同士が別の色になるように塗り分けるには、四色あれば十分なのだ。
塗り分けるには、四色あればよいので、四色定理だ。
3.四色定理
これは証明が終わっているので、誰でもつかうことができる。
- いやいや、五色必要かもしれないだろう
というつっこみがあっても、
- 証明されているから
と一言いえば済む。
逆に、
- いやいや、五色必要だ
と主張するのであれば、五色でなければ塗り分けられない例を示せばよい。
4.だから何
といって、実際に使われている地図で、単に四色で塗り分けられている地図などほとんどお目にかからない。
だから、四色定理などという大げさなモノがあっても、単なる
- 昔からある、なぞ、不思議
を、
- どこぞの熱心な誰か
が解決しただけで、
- 対して役に立つものではない
と考えてしまう。
そして
- やっぱり、数学なんて趣味の延長なのだ
- つまるところ、暇な人のただの趣味
・・・。
ではない。
5.携帯電話の基地局
wikiを調べていたら、この考え方は、地図の塗り分けだけではなく、携帯電話の基地局配置にも応用されている旨の記述があった(参考にさせていただきました。ありがとうございます)。
携帯電話の基地局は、隣り合う地域が同じ周波数だと混乱する。
だから、隣り合う地域が同じ周波数にならないように基地ごとの周波数を割り振らなければならない。
複雑な地域分けになると、異なる周波数をいくつ用意すればよいのか、皆目見当がつかない。
しかし、四色定理が存在しているので、隣り合う地域が異なる周波数になるように基地局を配置するには、周波数は四種類でよい。
上手に割り振っていけば、どんなに複雑に、細かく地域分けされていても、四つの周波数で事足りるのだ。
- もしかすると、四つでは足りないかもしれない
と心配して五種類の周波数を用意する必要は全くないのだ。
証明された時点(70年代)では、この定理が実用的に何の役に立つのかわからなかったが、数十年経過して、その恩恵に預かることができている。
後から効いてくるという、数学の性質が良くわかる定理だ。
6.まとめ
数学の成果は、一見、われわれの生活と何ら関係がないように見えるものが非常に多いが、実は深いところで我々の生活をしっかりと支えてくれているのだ。
四色定理もそうだ。
実際に地図を四色で塗り分けるだけ、などということはないが、携帯電話の基地局配置にきちんと応用されている。
四色定理があるおかげで、四つの異なる周波数の局を配置すれば事足りているのだ。
- 四種類では不安なので、五種類で
という心配は無用なのだ。
四色定理は知っているが、何に使われているのかよくわからない、という方。
参考にしていただきたい。