ラグランジアン、その外見に惑わされるな!!

ウシマツです。

解析力学の勉強を始めて、最初に遭遇する難関がラグランジアンの理解です。
エネルギーの和として表されますが、どうも、その姿には大した意味はなさそうです。
では、どんな意味があるのか?

見かけとは全然違う!!

解析力学の主役、ラグランジアン、ハミルトニアン。
これらは、外形的にはエネルギーの和として表現されている。
特に、ラグランジアンは運動エネルギーと位置エネルギーだ。

解析力学を学び始めた者は、まずここでつまづく。
きちんとつまづく。
そのつまづき方はこうだ。

ラグランジアンがわからない。
わからないので、わかりたい。
わからないモノの正体は、それを構成する要素を調べればわかるはずだ。

構成する要素を調べるのは、わからないモノの正体を調べる常法だ。
そう見当をつけて見てみる。
ラグランジアンは、運動エネルギーと位置エネルギーの和であることがわかる。

見たことのある顔は安心だ

運動エネルギーも、位置エネルギーも、どちらも顔なじみだ。
解析力学を勉強し始めて、ようやく懐かしい顔に出会い、安心する。
なぜなら、ラグランジアンという、偏微分の固まりでさっぱりわからない中で出会う、数少ない顔なじ

みだからだ。

「あー、なんだ。エネルギーの和なんだ。安心した。」
と言う感じだ。
ところが、これが実は落とし穴なのだ。

よくよく考えてみればわかる。

そもそも、位置エネルギーと、運動エネルギーは、相反するものだ。
なぜなら、エネルギー保存則が存在しているからだ。

両辺で保存するのに、足したらどうなる?

一方、量子力学でエネルギーは保存しない場合もあることを知る。
しかし、この時点では、話題は量子力学まで進んでいない。
なので、例外の存在を認めたとしても、保存しないと主張するのは無理がある。

それら相反するモノの和、ということは、ゼロを意味する。
すなわち、プラスとマイナスを足しあわせると、ゼロになる。
そして、ラグランジアンはゼロ、ということがここで判明する。

ゼロが正体だった

あれだけ大騒ぎしたものの正体がゼロ。
なんだかわからない。

さらには、このように理解して、先のラグランジアンを見ると、微分している。
エネルギーの和で考えると、ゼロを微分している。
ゼロの変化率を調べているのだ。

ここまでくると、もう訳が分からない。
なにがなんだかわからない状態で時間ばかりがいたずらに進んでいく、と言うことになる。

では、どうすればよいか?

そうではなかった

見方を完全に切り替える。
とりぜず、エネルギーの和としてとらえる。
そして、ラグランジアンの示すとおりに、微分、偏微分を行う。
すると、なんのことはない、ニュートンの運動方程式が現れる。

そう、ラグランジアンは、ニュートンの運動方程式を、エネルギーの和という外観を用いて表したにすぎない。

正体は、ニュートンの運動方程式

だから、「ラグランジアンはエネルギーの和」、という外観は意味を持っていない。
エネルギーの和という外観は、それ自体全く意味がない。

つまり、エネルギーの和という外観は、単なる表現形式にすぎない。
質量と加速度の積は力になる、という運動方程式を、質量と加速度の積と力による表現以外で表すため

に用いられた表現形式だ。

同じモノを別の形式で表現する

実は、一見、意味のない表現が非常に重要な意味をもっていたのだ。
そして我々はこの、エネルギーの和という表現形式で表された運動方程式、すなわちラグランジアンを

基礎として、ニュートン力学を微細に解析していくことになる。
これが解析力学だ。

以上、ウシマツでした。

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