アドレナリンとダイエット

ダイエットには、汗が付き物だ。体を動かし、代謝を促進すると、汗をかく。この仕組みは、体が刺激されて体温が上昇するので、上昇した体温を下げるために汗をかき、汗が蒸発する気化熱を利用して体温を下げる、というものだ。

一方、体を動かさなくても汗をかく場合がある。主に外部からの刺激を受けたときが多い。そして、その際にはアドレナリンが分泌されていることが多い。

この、アドレナリンが放出されている状態は、運動後と同じような状態なので、ダイエットに利用できるといわれている。

ここでは、そんなアドレナリンの放出をダイエットに利用できるかどうかについてご紹介する。

なお、非常に長くなっていると共に、内容的に非常に面倒くさく、分りにくいものになっている。ただ、よくお読みいただければ、必ずご理解いただける内容となっているので、繰り返しお読みいただきたい。


1.アドレナリンとダイエットの仕組み

結論から申し上げる。外部からの刺激によってアドレナリンが分泌されてもダイエット効果はない。その理由はのちほどお示しするが、まずは、アドレナリンが放出されるケースを考える。

2.外部からの刺激

外部から刺激を受けると、それに応じてアドレナリンが放出される。代表的なものは、次の三つだろう。

2-1.ホラー映画

ホラー映画は。アドレナリンが放出されやすい。恐怖を感じるので、それを危険として受け取り、逃げる準備をするためだ。実際、逃げ出したくなるような恐怖を感じる。しかし、それでも見ている。
観た後は、どっと疲れがでる。汗もかいている。これは精神的な疲れだ。いいかえれば、ストレスによる疲れだ。

2-2.絶叫系アトラクション

遊園地の絶叫系アトラクションは、アドレナリンが大量に放出される。物理的な恐怖と、それから誘発される精神的な恐怖感により、それを紛らわすように絶叫したり、体を硬直させたりする。

乗った後は、疲れがどっと出る。肉体的な疲れが大部分だろう。この場合の疲れは、ストレスに対抗するための肉体疲労だ。

2-3.唐辛子

唐辛子を食べると、その成分であるカプサイシンの刺激によりアドレナリンが放出される。

唐辛子を食べた時の汗や、体のほてりはアドレナリンの作用によるものだ。体の、唐辛子の刺激に対抗するための準備の結果だ。

なお、唐辛子とダイエットについては、「唐辛子によるダイエット」をお読みいただきたい。

3.ストレスを受けると、アドレナリンは放出される

以上挙げた例は、外部からのストレスを受けている。これらのストレスは、「その先何が起こるか、その個人にわからない状態」、いわゆる「緊急状態」に該当する。

緊急状態に対しては、それに対処する準備を行うために、アドレナリンを放出する。緊急時に対処するためにアドレナリンが放出されると

    • 瞳孔が開く
    • 心拍数が増える
    • 血糖値が上がる
    • 皮膚の血管を収縮させる

などの反応がおきる。これらは皆、緊急事態に対応するための反応だ。それぞれの反応の目的を詳しく見ると、

    • 瞳孔が開くのは、光をより多く取り込むため
    • 心拍数が増えるのは、血液をより多く供給するため
    • 血糖値が上がるのは、エネルギーの供給量を増やすため
    • 皮膚の血管が収縮するのは、けがをした時の出血量を抑えるため

これらは、すべて緊急時に対応するための、言い換えればストレスに対抗するための措置であり、ダイエットの為ではない。

ストレスに対抗するための反応なので、これをダイエットに利用すると、そのたびに全身をストレスにさらすことになる。

もちろん、これらの作用が出現するために体は代謝を行い、必要なエネルギーを産生する。その際にはもちろん、蓄積されている脂肪も利用される。

そのため、これらの作用をうまく利用すればダイエット効果も期待できるかもしれないが、外的な刺激によるストレスは神経系を強制的に興奮させるものであり、あくまでも緊急時に対処するための機能である。

緊急時の機能を、平時に利用するのは正常な用法ではないので利用すべきではない。

4.アドレナリンは平時でも放出されている

なお、アドレナリンは、緊急時以外でも放出されている。もちろん、トレーニングやエクササイズでも放出される。しかし、それらは緊急時の放出とは全く別の、平時の放出だ。

平時には、その状態に応じて適量が放出されている。今回扱った緊急時とは別のものであると、とらえていただきたい。

5.まとめ

アドレナリンは、緊急時に対処するために放出されるもので、体の防御システムの一つだ。

放出に伴い、エネルギーが生み出され、汗をかいたり、動悸が激しくなったりするので、エクササイズをしたような感じになる。

しかし、そのエネルギーと反応は、あくまでも体を守るためのものであり、エクササイズとは無関係であり、ましてやダイエットの為のものではない。

参考にしていただきたい。

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