冬はビタミンCの消費が激しい。だからこまめに補給しなければならない。
では、あなたは寒い冬にどうやって補給するだろうか?キーワードは体を冷やさない、だ。すなわち、体を冷やさないようにしてビタミンCを補給しなければ効率が悪くなる。
ここでは、寒い時期に体を冷やさないようにビタミンCを取る方法をご紹介する。
なお、本記事は文部科学省の「食品成分データベース」を参考にさせていただいた。ありがとうございます。
1.寒い冬のビタミンCのとり方
結論から申し上げる。ビタミンCを含む食材をきちんと加熱して食べる。
加熱といっても、
- さっと茹でる
- 加熱時間を短く
などということは気にしない。揚げ物、炒め物、煮物などでしっかりと熱を通していただく。
ふかしてもいいし、焼いてもいい。とにかく熱を通す。これが体を冷やさない基本だ。
2.冬の野菜はビタミンCが豊富
2-1.冬の野菜
次に挙げたのは、冬の野菜だ。
- 12月
野菜/ 大根、はくさい、カブ、ねぎ、れんこん、山いも、やつがしら、ほうれん草 - 1月
野菜/ ほうれん草、小松菜、大根、にんじん、れんこん、山いも、芽キャベツ - 2月
野菜/ 京菜、春菊、小松菜、大根、わけぎ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、ワサビ
いかがだろうか?どの野菜もビタミンCを豊富に含んでいる。これは、ビタミンCを消費しやすい季節の、旬のものの持つ機能だ。
しかし、どの食材も生で食べるのには適していない。大根や、ねぎ、にんじん、山いもあたりは生でもいただくが、そのほかは必ず熱を通さないと食べることが難しい。
これは、これらの食材が生で食べる必要がないこと、すなわち加熱して食べることを教えてくれている。
2-2.ビタミンCは、水に溶けやすい
たとえば白菜や春菊などはナベの主役だ。これらがないナベなど考えられない。そして、だいたい白菜や春菊はくたくたになって残る。
ナベのときは、だしの一滴も残さずに食べるだろう。実は、ナベは一滴も残さずに平らげるところが重要だ。
2-3.溶け出た水も残さずいただく
白菜や春菊は、ナベなどに入れるとそれらから水が出てくる。この、具材から出てくる水と一緒に、ビタミンCも出てくる。そしてナベのだしにとけ込む。
具材にはビタミンCは残っていない。だから、残存率は非常に少ない。しかし、溶け出たビタミンCは、だしの中に残っている。だからナベは、最後の一滴まで残さずに食べる。そうすれば、具材のビタミンCを残さず取り入れることができる。
3.ビタミンCは熱に弱い
ビタミンCは熱に弱い、と一般に言われている。しかし、そうではない事実が多く存在する。たとえば
- じゃがいも、サツマイモのビタミンCはでんぷんにより酸素との接触から守られている
- にがうり、ピーマンは炒めてもビタミンCが減りにくい
- ほうれん草は、湯がくよりも電子レンジで調理した方がビタミンCが逃げにくい
などだ。これらは事実だ。このなかで注意していただきたいのは、ほうれん草だ。
電子レンジで調理した方がビタミンCが逃げにくい
と言うことは、湯がくとビタミンCが湯の中に 放出され、ほうれん草自体に残るものが減ることを表している。
4.放出と破壊は違う
放出されるので、ほうれん草自体からはビタミンCが減るが、湯がいているお湯に溶けだしただけで、ビタミンC自体は壊れてはいない。
あなたは、熱水へ溶けだして減るのと、熱を加えて壊れるのを混同していないだろうか?ほうれん草を湯がくとビタミンCが減るのは、お湯に溶け出すからで、壊れるからではない。また、お湯に入れると、溶け出す速度が大きくなるだけで、壊れるのとは関係ない。
4-1.ホットレモン
ホットレモンは、糖分とビタミンCを同時に取り入れることができる優れたドリンクだ。
作るときは、熱湯で作る。好みにもよるが、間違ってもぬるま湯では作らない。熱湯なので、80℃以上の熱が加わる。
これだけの熱が加わると、熱に弱いビタミンCは壊れてしまうので、ホットレモンのビタミンCに関する効果は減少してしまうはずだが、どうもそうでは無いようだ。
ちなみにレモンは、種以外を全部利用するとさらに効果が高くなる。
5.ビタミンCが壊れる条件
ここで、ビタミンCが壊れる条件を確認しよう。
ビタミンCは温度の高い、低いには関係なく、酸素とふれると二回姿を変える。一回目の変化は、体内にはいると修正されて、ビタミンCとしての機能は残るので問題ない。
問題は、二回目だ。二回姿を変えると完全にビタミンCとしての機能を失う。この状態を「ビタミンCが壊れた」と呼ぶ。
これらの反応は、常温でも起きる。進むのが遅いだけだ。ところが熱を加えると、これらの反応が熱を加えないときよりも早く進む。
だから、熱を加えるときに、酸素に触れないようにして熱を加えれば、ビタミンCは必要以上に壊れることはない。油炒め、揚げ物などでビタミンCの含有量が多いのは、そのためだ。
6.ビタミンCを減らさない調理方法
6-1.切り口を小さくして漏れを防ぐ
水で煮込むときなどは、切り口をなるべく小さくする。
たとえば、ロールキャベツなどは体を温めながらビタミンCを取り入れる最良の方法だ。細かく刻まずに、一枚葉を巻いて使う。一枚葉なので漏れにくい。漏れても、スープも一緒にいただくので漏れ出たビタミンCも全部取り入れることができる。
スープの脂肪が気になる、というのであれば赤身の多い肉や、鶏の胸肉を使う、などの工夫はしてもよい。
ブロッコリーやカリフラワーは、切り分けずに丸ごと湯がいてから切り分ける。
6-2.切り分けて調理する場合は、全部いただく
先のナベは食材を刻んで入れる。そのため、食材からビタミンCが必ず漏れ出す。そのため、食材自体に残るビタミンCは非常に少ない。
しかし、ビタミンCが漏れ出したダシやスープを残さずいただけば問題ない。
6-3.油を使い、酸素との接触を断つ
酸素との接触を少なくすれば、必要以上に壊さずにすむ。
天ぷらは、よい調理法だ。衣にビタミンCが溶けだしても、油により酸素との必要以上の接触が断たれる。
素揚げもよい。ビタミンCは水溶性なので油との相性が悪い。そのため溶け出すことはなく、食材の中に残すことができる。
7.まとめ しっかり加熱、体を冷やさずバッチリ補給
冬の野菜はビタミンCを豊富に含む。これは、ビタミンCが消耗されやすい季節の、旬のもののもつ機能だ。
そして、寒い時期は
- 体を冷やさない
が重要なキーワードだ。体を冷やすと、代謝が低下し、取り入れた栄養素もきちんと吸収できなくなる。だから、これらの冬の野菜は、きちんと加熱調理していただくのが望ましい。
その際、重要なことは
- 溶け出さないようにする
- 酸素との接触を断つ
の二つだ。また、溶け出しやすい調理方法でも
- 煮汁なども全部いただく
ことで、溶けだしたものも取り入れることができる。
風邪の予防などには、ビタミンCの補給が欠かせない。是非参考にしていただき、寒い季節を元気に過ごしていただきたい。